法人向けの商品を扱うメーカー・商社・卸売業・資材販売会社では、今も電話、FAX、メール、Excelを使った受注業務が多く残っています。
「いつもの商品を注文したいだけなのに、毎回電話が必要」
「在庫や納期の確認で営業担当者の時間が取られる」
「FAX注文をExcelに転記していてミスが起きやすい」
「得意先ごとの価格や掛け払い条件をどう管理すればよいか分からない」
このような課題を解決する手段の一つが、BtoB ECです。
BtoB ECは、単なる法人向けネットショップではありません。法人受注、営業活動、既存顧客管理、在庫・納期確認、業務効率化を支える仕組みです。
本記事では、BtoB ECとは何か、BtoC ECとの違い、導入メリット、向いている企業、始める前に整理すべきことを分かりやすく解説します。
🔖目次
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BtoB ECとは?
BtoB ECとは、企業間取引、つまり法人向けの受発注をWeb上で行う仕組みです。
たとえば、メーカーが販売代理店向けに商品を注文できるサイトを用意したり、商社が取引先ごとにログインできる法人向け注文サイトを運営したりするケースが該当します。
BtoB ECでは、一般消費者向けのECとは異なり、法人取引ならではの要素が多くあります。
たとえば、取引先ごとに価格が違う、掛け払いに対応する、注文ロットがある、納期確認が必要、見積承認がある、営業担当者が顧客を管理している、といった点です。
そのため、BtoB ECは単なるネットショップではなく、法人受注を効率化する業務基盤として考える必要があります。
BtoC ECとの違い
BtoC ECは、一般消費者が自分のために商品を購入するECサイトです。一方、BtoB ECは企業が業務のために商品や資材を購入する仕組みです。
| 比較項目 | BtoC EC | BtoB EC |
| 対象 | 一般消費者 | 法人・取引先・代理店 |
| 購入目的 | 自分や家族、ギフト | 業務・販売・製造・施工 |
| 価格 | 基本的に全員同じ価格 | 取引先ごとに価格が異なる場合がある |
| 決済 | クレジットカード、QR決済など | 掛け払い、請求書払い、カード決済など |
| 注文頻度 | 必要な時に都度購入 | 定期的な再注文・まとめ買いが多い |
| 重要要素 | 商品画像、レビュー、価格、配送 | 在庫、納期、価格条件、見積、承認フロー |
| 主な目的 | 新規購入・リピート購入 | 受注業務効率化・既存顧客管理・営業支援 |
BtoB ECでは、見た目のデザイン以上に、取引条件や業務フローの整理が重要になります。
BtoB ECが注目される理由
BtoB ECが注目される理由は、法人受注の現場に多くのアナログ業務が残っているからです。
電話で注文を受ける。FAXを確認する。メールの内容をExcelに転記する。在庫を確認して納期を回答する。営業担当者が毎回同じ商品の注文を受ける。
こうした業務は、1件あたりの作業時間は小さく見えても、件数が増えるほど大きな負担になります。
また、受注業務が属人化していると、担当者が不在の時に対応が遅れたり、入力ミスや確認漏れが発生したりします。
BtoB ECを導入することで、よくある注文や再注文をWeb上で完結できるようになり、営業・事務・顧客の負担を減らせます。
BtoB ECを導入するメリット
1. 受注業務の負担を減らせる
BtoB ECの大きなメリットは、電話・FAX・メール対応を減らせることです。
定番商品や再注文が多い商材であれば、顧客がWeb上で商品を選び、数量を入力し、注文できるようにするだけでも、受注業務の負担は大きく変わります。
注文内容がデータとして残るため、確認ミスや転記ミスの削減にもつながります。
2. 営業担当者が提案活動に集中できる
営業担当者が、在庫確認、納期確認、定番商品の注文対応に追われている会社は少なくありません。
もちろん、顧客対応は重要です。しかし、毎回同じような確認業務に時間を取られていると、本来注力すべき提案活動や新規開拓の時間が減ってしまいます。
BtoB ECで再注文や在庫確認をWeb化できれば、営業担当者は大口提案、休眠顧客の掘り起こし、顧客課題のヒアリングなど、より価値の高い業務に集中しやすくなります。
3. 既存顧客の購買データを活用できる
BtoB ECでは、顧客ごとの注文履歴、購入頻度、購入カテゴリ、注文単価などのデータが蓄積されます。
これにより、どの顧客がよく買っているのか、どの商品が継続的に売れているのか、どのカテゴリの掛け合わせができそうかを確認しやすくなります。
たとえば、よく購入される定番品の関連商品を提案したり、一定期間注文がない顧客にフォローしたりすることも可能になります。
BtoB ECは、新規顧客を増やすだけでなく、既存顧客との関係を深めるCRMの入口にもなります。
4. 顧客にとっても注文しやすくなる
BtoB ECは、販売側だけでなく顧客側にもメリットがあります。
営業時間外でも注文できる。過去の注文履歴から再注文できる。商品情報や仕様を確認しやすい。見積や納期を確認しやすい。
このように、顧客にとって使いやすい仕組みを作ることで、取引先満足度の向上にもつながります。
BtoB ECが向いている企業
BtoB ECは、特に以下のような企業に向いています。
・電話・FAX・メールでの受注が多い
・同じ商品の再注文が多い
・取引先ごとに価格や条件が異なる
・商品点数が多い
・営業担当者が受注処理や納期確認に追われている
・既存顧客の購買状況を把握できていない
・法人顧客からの問い合わせや見積対応が多い
・営業効率化と売上拡大を同時に進めたい
特にメーカー、商社、卸売業、資材販売、部品販売、業務用品販売などは、BtoB ECとの相性が良い業種です。
BtoB ECを始める前に整理すべきこと
BtoB ECを始める前に、いきなりシステムやデザインを決めるのはおすすめできません。
まずは、自社の法人受注の流れを整理することが大切です。
確認すべきポイントは以下です。
・どの商品をWeb注文の対象にするか
・誰が注文するのか
・取引先ごとの価格をどう管理するか
・在庫表示をするか
・納期をどこまで表示するか
・掛け払い、請求書払い、カード決済に対応するか
・見積対応を残すか
・営業担当者の承認フローをどうするか
・基幹システムや在庫管理システムと連携するか
・営業部門とEC部門の役割をどう分けるか
BtoB ECで失敗しやすいのは、サイトの見た目ではなく、取引条件や運用ルールの整理不足です。
最初からすべてを完璧にWeb化する必要はありません。まずは、再注文が多い商品、問い合わせが多い商品、受注業務の負担が大きい取引から始めるのが現実的です。
BtoB ECは作って終わりではない
BtoB ECは、サイトを作って終わりではありません。
導入後に重要なのは、取引先に使ってもらうことです。
営業担当者が顧客に案内する。よく使う商品を注文しやすくする。マイページや注文履歴を整える。メールや案内資料で利用を促す。使われていない理由を確認する。
このような運用改善が必要です。
また、BtoB ECで蓄積された購買データをもとに、Web広告、SEO、メール配信、既存顧客フォローへつなげることで、売上改善の可能性が広がります。
BtoB ECは、受注業務を効率化するだけでなく、営業活動やマーケティングを強化する土台にもなります。
まとめ
BtoB ECとは、法人向けの商品をWebで販売するだけの仕組みではありません。
電話・FAX・メール受注を減らし、受注業務を効率化し、営業担当者が提案活動に集中できる環境を作る仕組みです。
さらに、既存顧客の購買データを活用することで、再注文、関連商品の提案、リピート促進、法人受注の拡大にもつながります。
重要なのは、BtoB ECを単なるネットショップとして考えないことです。
法人受注、営業効率化、既存顧客管理、在庫・納期・決済・価格管理を含めた、事業全体の仕組みとして設計することが大切です。
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