Google広告のP-MAXは、検索、ショッピング、YouTube、ディスプレイ、Discover、Gmail、Googleマップなどへ横断的に配信できるキャンペーンです。

特にECサイトでは、Google Merchant Centerの商品フィードを使い、商品ごとの価格・在庫・画像・カテゴリ情報を広告配信へ活用できます。

一方で、P-MAXは「設定してAIへ任せれば成果が出る広告」ではありません。

購入金額の計測、新規・既存顧客の定義、検索テーマ、オーディエンスシグナル、商品フィード、リスティンググループ、除外設定など、運用者がAIへ渡す情報によって成果の方向性が変わります。

本記事では、EC事業者と広告運用者に向けて、P-MAXがECに有用な理由と具体的な設定方法を解説します。

この記事で分かることの結論
・P-MAXは商品数が多く、売上金額を計測できるECと相性が良い
・新規・既存・休眠顧客は顧客ライフサイクル目標で入札の優先度を変えられる
・検索テーマは「何を探しているか」、オーディエンスシグナルは「どのような人か」を補足する
・商品フィードはリスティンググループで商品やカテゴリ単位に整理できる
・利益率、予算、目標ROASが違う場合はキャンペーン分割を検討する
・新規獲得が目的なら、購入者データセグメントを必要な期間だけ除外する

🔖目次

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Google広告のP-MAXとは

P-MAXは、Googleが保有する複数の広告チャネルへ、1つのキャンペーンから横断的に配信できる目標ベースのキャンペーンです。

主な配信先には、次のようなGoogleの広告枠があります。

・Google検索

・ショッピング

・YouTube

・Googleディスプレイネットワーク

・Discover

・Gmail

・Googleマップ

広告主が設定したコンバージョン目標、予算、入札戦略、商品フィード、広告アセット、検索テーマ、オーディエンスシグナルなどをもとに、Google AIが配信先や入札を調整します。

ECではGoogle Merchant Centerの商品フィードと連携することで、商品画像、価格、在庫、ブランド、商品ページURLなどを使った広告配信が可能です。

結論|P-MAXは商品数の多いECと相性が良い

P-MAXは、次のようなECサイトで活用しやすいキャンペーンです。

・商品数やカテゴリ数が多い

・Google Merchant Centerを利用している

・購入金額をコンバージョン値として送信できる

・売上金額やROASを基準に最適化したい

・検索広告だけでは新しい顧客層を開拓しにくい

・画像や動画を使って商品の認知から購入まで接点を作りたい

・新規顧客と既存顧客の価値を分けて運用したい

一方で、AIの判断材料が不足していると、既存顧客や自社ブランド検索、売れやすい一部商品へ予算が偏ることがあります。

P-MAXでは、AIへ丸投げするのではなく、「どの商品を、どの顧客に、どの価値基準で販売したいのか」を運用者が整理して渡すことが重要です。

P-MAXがECに有用な3つの理由

商品フィードから広告を展開できる

Google Merchant CenterとGoogle広告を連携すると、次の商品情報を配信に活用できます。

・商品名

・商品画像

・価格

・セール価格

・在庫状況

・ブランド

・Google商品カテゴリ

・商品タイプ

・商品ページURL

・カスタムラベル

商品ごとに検索キーワードや広告文をすべて手作業で登録しなくても、数百点、数千点の商品を広告へ展開しやすいことがメリットです。

ただし、商品フィードは単なる商品一覧ではありません。商品名が社内の商品管理名のまま、画像が分かりにくい、カテゴリが未設定、価格や在庫がサイトと不一致といった状態では、配信機会や成果を損なう可能性があります。

Googleの複数チャネルで顧客へ接触できる

検索広告は、ユーザーが検索したタイミングで接触する施策です。

P-MAXでは、検索前のユーザーへYouTubeやDiscoverで商品を知ってもらい、検索やショッピングで比較検討者を獲得し、ディスプレイで再接触するといった複数チャネルの配信が可能です。

ユーザーは必ずしも「認知、比較、購入」の順番で動くわけではありません。動画を見た後に検索し、数日後にGmailやDiscoverで再接触して購入することもあります。

P-MAXは、この複雑な購買行動に対してGoogleの複数チャネルから接点を作れる点がECと相性の良い理由です。

購入件数ではなく売上金額で最適化できる

ECでは、商品によって販売価格や利益額が異なります。

3,000円の商品を1件販売する場合と、30,000円の商品を1件販売する場合では、同じ1件の購入でも事業への貢献が異なります。

購入金額をGoogle広告へ正しく送信することで、「コンバージョン値の最大化」や「目標広告費用対効果」を利用できます。

ただし、売上金額だけを最適化すると、利益率の低い高額商品へ寄る可能性があります。粗利やLTVを重視する場合は、商品フィードのカスタムラベル、コンバージョン値の調整、キャンペーン分割などを組み合わせる必要があります。

2026年時点で押さえたいP-MAXのアップデート

新規・既存顧客レポートの判定が改善

Google広告では、顧客ライフサイクル目標を設定したキャンペーンについて、新規顧客、リピーター、高価値の新規顧客などで成果を確認できます。

2025年10月以降、新規顧客獲得レポートでは、従来「不明」と判定されていた一部の購入について、過去のキャンペーン実績などをもとに新規・既存の推定精度が改善されています。

ただし、「不明」が完全になくなったわけではありません。法的・文化的に機微なカテゴリや、iOS・ユーザー単位のパーソナライズ設定などの計測制約によって判定できない場合があります。

また、Google広告上の新規顧客数と、ECカートやCRM上の新規購入者数は完全に一致するとは限りません。

入札最適化と広告分析にはGoogle広告の区分を活用し、正式な経営数値は受注データやCRMを基準に確認しましょう。

休眠顧客へのリエンゲージメントが可能

顧客ライフサイクル目標では、新規顧客だけではなく、一定期間購入していない休眠顧客へ再度アプローチするリテンション目標も用意されています。

P-MAXでは、次のようなモードを活用できます。

・リエンゲージメントモード

・高価値リエンゲージメントモード

休眠顧客の定義は広告主側で整理し、カスタマーマッチの顧客リストとして登録します。

たとえば、次のような分類が考えられます。

・180日以上購入していない顧客

・365日以上購入していない顧客

・過去に高額購入したが直近で購入していない顧客

・定期購入を解約した顧客

新規顧客獲得だけではなく、既存顧客の再購入まで含めて設計することで、顧客LTVを意識した運用へ広げられます。

商品別レポートがP-MAXの全ネットワークへ拡張

2026年6月から、Google Merchant Centerの商品を使った商品別レポートが拡張されました。

従来、費用やコンバージョンなどの商品別指標は、主にP-MAXの検索ネットワークと標準ショッピングキャンペーンが対象でした。

現在は、P-MAXのYouTube、Discover、Gmailなどを含む全ネットワークの商品実績を確認できる範囲が広がっています。

これにより、商品単位、ブランド単位、カテゴリ単位で、次のような指標を見やすくなりました。

・表示回数

・商品クリック

・商品以外の広告要素へのクリック

・費用

・コンバージョン

・コンバージョン値

・配信ネットワーク

アップデート前後で、P-MAXの商品別レポートの表示回数やクリック数が一度に増えて見える場合があります。

前年同月比較や長期推移を見る場合は、2026年6月の集計範囲変更を考慮しましょう。

EC向けP-MAXの設定方法

1.購入コンバージョンを正しく設定する

最初に、ECサイトの購入完了をコンバージョンとして計測します。

最低限、次の情報をGoogle広告へ送信します。

・購入完了

・購入金額

・通貨

・取引ID

・新規顧客か既存顧客か

取引IDを送信していない場合、購入完了ページの再読み込みなどによって、同じ注文が重複計測される可能性があります。

また、購入以外の「カート追加」「商品詳細閲覧」「会員登録」などをメインコンバージョンへ含めると、購入ではなく途中行動を増やすように学習する場合があります。

購入を最適化するキャンペーンでは、購入をメイン目標に設定し、途中行動は原則としてサブアクションで観察します。

2.Google Merchant Centerを連携する

Google Merchant Centerへ商品情報を登録し、Google広告アカウントと連携します。

確認したい項目は次のとおりです。

・商品名が検索ニーズを反映しているか

・商品画像が明瞭か

・価格とサイト上の販売価格が一致しているか

・在庫状況が正しいか

・ブランド名が登録されているか

・Google商品カテゴリと商品タイプが適切か

・商品ページURLが正しいか

・不承認商品が発生していないか

・送料や返品条件が正しく設定されているか

P-MAXの成果は、広告管理画面だけではなく、商品フィードの品質に大きく左右されます。

商品名は、社内の商品管理名ではなく、ユーザーが商品を理解しやすい情報を含めます。

たとえば「ABC-001」だけではなく、「メンズ 本革 ビジネスシューズ 幅広 3E」のように、ブランドルールとGoogleのポリシーを守りながら商品特性を伝えます。

3.目標と入札戦略を設定する

ECでは、原則として「販売促進」を広告目標とし、購入をコンバージョン目標に設定します。

代表的な入札戦略は次のとおりです。

・コンバージョン値の最大化

・目標広告費用対効果を設定したコンバージョン値の最大化

開始時点から実績より大幅に高い目標ROASを設定すると、入札できるオークションが減り、配信量が伸びない可能性があります。

過去実績がある場合は、直近実績に近い目標値から始め、売上・粗利・新規顧客比率を確認しながら段階的に調整します。

4.顧客ライフサイクル目標を設定する

P-MAXでは、新規顧客と既存顧客で入札の優先度を変えられます。

主な新規顧客獲得モードは次のとおりです。

新規顧客の価値モード

・新規顧客に追加価値を設定する

・既存顧客にも広告を配信する

・新規顧客へ既存顧客より高く入札する

・購入を計測するECで基本的に検討しやすい

高価値の新規顧客モード

・高価値顧客に似た新規顧客へ、通常の新規顧客より高く入札する

・高価値の既存顧客リストが必要

・LTVや購入単価に大きな差があるECで検討する

新規顧客のみモード

・新規顧客を中心に入札する

・新規顧客獲得用の予算を明確に分けたい場合に向く

・既存顧客向けには別キャンペーンを用意する

・プライバシーや技術上の理由により、既存顧客へ表示される場合がある

Googleは、購入コンバージョンを使う広告主に対して、まず新規顧客の価値モードを推奨しています。

既存顧客を完全に切り離す必要がある場合を除き、最初から新規顧客のみモードへ限定するより、追加価値を設定して配信量を確保する方が安定しやすい場合があります。

一方、購入360日以内の既存顧客へ広告を配信したくない場合は、「購入者360日」などのデータセグメントを作成し、キャンペーンのオーディエンス除外へ設定します。新規顧客のみモードと購入者セグメントの除外は、目的に応じて併用します。

5.既存顧客・高価値顧客・休眠顧客を登録する

新規・既存顧客の判定精度を高めるため、顧客リストをGoogle広告へ登録します。

利用できる代表的なデータは次のとおりです。

・カスタマーマッチの購入者リスト

・高価値の既存顧客リスト

・休眠顧客リスト

・Google Analytics 4のオーディエンス

・サイト訪問者リスト

・購入者のデータセグメント

・購入タグから送信する新規・既存顧客情報

・Googleによる自動判定

Googleの自動判定では、過去540日間の購入状況などが基準の一つとして使われます。

ただし、Cookieの削除、ログイン状況、同意状況、ブラウザやOSの制約によって判定できない場合があります。

そのため、次の組み合わせが理想です。

・Googleの自動判定

・カスタマーマッチの既存購入者リスト

・購入タグの新規顧客情報

・高価値顧客や休眠顧客の自社定義

検索テーマの設定方法

検索テーマは、顧客が商品を探すときに使うと考えられる語句をGoogle AIへ伝える機能です。

検索キーワードのように配信対象を固定するものではありません。

商品フィード、広告アセット、ランディングページからP-MAXが予測する検索語句へ、広告主の事業知識を追加する役割があります。

検索テーマは任意設定で、アセットグループごとに最大50個まで登録できます。

検索テーマに登録したい情報

ECでは、次のようなテーマを検討します。

商品カテゴリ

・ビジネスシューズ

・メンズスニーカー

・高齢者向け衣料

・法人向け作業用品

利用目的・悩み

・立ち仕事 疲れにくい 靴

・介護施設 入居準備

・母の日 プレゼント

・雨の日 滑りにくい 靴

商品特徴

・幅広 革靴

・日本製 バッグ

・洗える ジャケット

・軽量 作業靴

季節・イベント

・夏用 サンダル

・敬老の日 プレゼント

・新生活 家電

・クリスマス ギフト

固有情報

・自社ブランド名

・新しい商品シリーズ名

・業界固有の用途名

・WebサイトだけではGoogleが理解しにくい専門用語

検索テーマ設定時の注意点

似た語句を大量に登録する必要はありません。

たとえば、次の3つは検索意図が近く、情報が重複しやすいテーマです。

・メンズ革靴

・男性用革靴

・紳士用革靴

検索テーマでは、Webサイトや商品フィードだけでは把握しにくい情報を優先します。

・新商品でページの情報量が少ない

・ニッチな利用目的がある

・季節需要へ短期間で対応したい

・ユーザー独自の言い回しがある

・業界では有名だが一般名称と商品名が異なる

検索テーマを追加した後は、検索語句の分析やインサイトを確認し、想定外の需要を発見できているかを見ます。

オーディエンスシグナルの設定方法

オーディエンスシグナルは、成果につながりやすいと考えられるユーザー像をGoogle AIへ伝える機能です。

重要なのは、オーディエンスシグナルが配信対象を限定する設定ではないことです。

登録したシグナル以外でも、コンバージョンする可能性が高いとGoogleが判断したユーザーには広告が配信されます。

優先して登録したい自社データ

最初に検討したいのは、広告主が保有するファーストパーティーデータです。

・過去の購入者

・高額購入者

・複数回購入者

・会員登録者

・商品詳細ページ閲覧者

・カート追加者

・特定カテゴリの閲覧者

・YouTube動画視聴者

・アプリユーザー

・休眠顧客

購入者や高LTV顧客のリストは、Google AIへ「事業にとって価値の高い顧客像」を伝える材料になります。

ただし、すべての購入者を一つにまとめるより、可能であれば次のように分けると分析しやすくなります。

・初回購入者

・2回以上の購入者

・購入金額上位顧客

・特定カテゴリ購入者

・直近購入者

・休眠顧客

カスタムセグメントを活用する

カスタムセグメントには、次の情報を登録できます。

・顧客が検索すると考えられる語句

・顧客が閲覧する可能性の高いWebサイト

・顧客が利用する可能性の高いアプリ

競合サイトのURLを登録しても、競合サイトの訪問者だけに限定配信されるわけではありません。

登録したURLや語句などをもとに、似た興味・関心・行動を持つユーザーをGoogleが探索します。

検索テーマとカスタムセグメントの検索語句は似ていますが、役割が異なります。

検索テーマ

・ユーザーが「何を探しているか」を補足する

・P-MAXの検索意図や探索範囲へ情報を追加する

カスタムセグメント

・ユーザーが「どのような興味や行動を持つか」を補足する

・オーディエンスの人物像をGoogle AIへ伝える

Googleのオーディエンスセグメントを補助的に使う

自社データに加え、次のセグメントを利用できます。

・詳しいユーザー属性

・ライフイベント

・アフィニティ

・購買意向の強いセグメント

たとえば、住宅関連商品では「最近引っ越した人」、ベビー用品では「子どもがいる世帯」、ビジネス用品では職種や事業規模に関連するセグメントを補助情報として検討できます。

ただし、Googleが用意した広いセグメントだけに頼るより、自社の購入者データやサイト行動データを優先する方が、事業固有の顧客像を伝えやすくなります。

検索テーマとオーディエンスシグナルの違い

検索テーマとオーディエンスシグナルは、どちらもGoogle AIへ情報を渡す設定ですが、役割が異なります。

項目検索テーマオーディエンスシグナル
主な役割検索意図を伝える顧客像を伝える
伝える情報ユーザーが探す語句顧客の属性・興味・行動
主な入力例商品カテゴリ、用途、悩み、季節語購入者、サイト訪問者、カスタムセグメント
配信の限定しないしない
設定単位アセットグループアセットグループ
運用上の考え方Webサイトだけでは分からない検索需要を追加価値の高い顧客に近い人物像を追加

簡単に整理すると、検索テーマは「何を探しているか」、オーディエンスシグナルは「どのような人か」をGoogle AIへ伝える設定です。

リスティンググループで商品やカテゴリを出し分ける

Google Merchant Centerと連携したP-MAXでは、アセットグループ内のリスティンググループを使って、配信対象商品を指定できます。

商品は、次の属性で分類できます。

・Google商品カテゴリ

・商品タイプ

・ブランド

・商品ID

・商品の状態

・販売チャネル

・カスタムラベル

カテゴリ別にアセットを分ける例

アセットグループA

・対象商品:ビジネスシューズ

・広告画像:スーツと革靴

・検索テーマ:革靴、ビジネスシューズ、営業職 靴

・オーディエンス:購入者、ビジネス用品の購入検討者

アセットグループB

・対象商品:カジュアルシューズ

・広告画像:休日のコーディネート

・検索テーマ:メンズスニーカー、歩きやすい靴

・オーディエンス:スニーカー閲覧者、ファッション関心層

アセットグループC

・対象商品:セール商品

・広告画像:セール訴求

・検索テーマ:靴 セール、革靴 アウトレット

・オーディエンス:過去のサイト訪問者、カート離脱者

商品カテゴリごとにリスティンググループと広告アセットを一致させることで、商品、画像、広告文、ランディングページの一貫性を高められます。

ただし、アセットグループを分けても、予算や目標ROASはキャンペーン単位です。

商品カテゴリごとに予算を完全に分けたい場合は、キャンペーンを分ける必要があります。

カスタムラベルを活用する

商品フィードには、カスタムラベル0から4までの5種類を設定できます。

たとえば、次のように商品を分類します。

カスタムラベル0

・粗利:高、中、低

カスタムラベル1

・販売状況:売れ筋、通常、低調

カスタムラベル2

・季節:春、夏、秋、冬、通年

カスタムラベル3

・価格帯:5,000円未満、5,000円から10,000円、10,000円以上

カスタムラベル4

・在庫:在庫過多、適正、在庫僅少

この分類を使うと、次のような運用ができます。

・粗利の高い商品だけを別キャンペーンにする

・在庫過多の商品を販売促進する

・売れ筋商品と新商品を分ける

・季節商品だけ配信期間を管理する

・価格帯別に目標ROASを調整する

商品カテゴリだけではなく、利益率、在庫、販売戦略をフィードへ反映することがEC運用では重要です。

リスティンググループでは個別予算を設定できない

リスティンググループは、アセットグループに含める商品と除外する商品を指定する機能です。

リスティンググループごとに、個別の予算や目標ROASを設定するものではありません。

次の設定を変えたい場合は、キャンペーン分割を検討します。

・予算

・目標ROAS

・新規顧客の追加価値

・配信地域

・配信期間

・利益率の基準

・在庫消化の優先度

ただし、細かく分けすぎるとキャンペーンごとの購入データが不足し、学習が進みにくくなります。

商品カテゴリが違うという理由だけで分けるのではなく、事業条件が異なるかを基準に判断しましょう。

キャンペーン設定で確認したい除外・制御項目

データセグメントの除外で購入者への配信を制御する

P-MAXでは、キャンペーン作成後にオーディエンスの除外設定を追加できます。

自社のファーストパーティーデータで作成した購入者セグメントなどを除外し、特定のユーザーへの広告配信を抑えるための制御です。

たとえば、次のような設定が考えられます。

・購入360日以内のユーザーを新規獲得キャンペーンから除外する

・定期購入を継続しているユーザーを初回購入キャンペーンから除外する

・特定商品を購入したユーザーを同じ商品の広告から除外する

・既存会員を新規会員獲得キャンペーンから除外する

設定の流れは次のとおりです。

1. Google広告またはGA4で購入者のデータセグメントを作成する

2. 購入完了イベントや購入完了ページを条件に設定する

3. 「購入360日以内」など、商品の再購入周期に合わせて有効期間を設定する

4. P-MAXキャンペーン作成後に「オーディエンス」の除外設定を開く

5. キャンペーン単位で対象の購入者セグメントを選択して保存する

ウェブサイト訪問者のデータセグメントでは、有効期間を最長540日まで設定できます。ただし、360日はGoogleが定める一律の推奨期間ではありません。

・消耗品や定期購入商品:30日、60日、90日など短期間、または除外しない

・耐久財や買い替え周期の長い商品:180日から540日を検討する

・初回限定商品:既存購入者を長めに除外する

新規顧客のみモードはGoogleの判定に基づく最適化です。一方、データセグメントの除外は、自社で把握できる購入者リストを使って配信対象から外す設定です。新規獲得を厳密に管理したい場合は、両方を組み合わせます。

なお、Google広告には計測障害時のスマート自動入札に使う別機能として、正式名称が「データの除外」の設定もあります。本記事で扱う購入者への配信制御は、「データセグメントの除外」または「オーディエンスセグメントの除外」であり、別の機能です。

最終ページURLの拡張とURL除外

最終ページURLの拡張を有効にすると、Googleがユーザーの検索意図に応じて、設定したURLとは別の関連ページへ誘導する場合があります。

ECでは多くの商品ページへ自動的に誘導できる一方、意図しないページへ送客する可能性があります。

次のページはURL除外を検討します。

・会社概要

・採用情報

・利用規約

・プライバシーポリシー

・返品ポリシー

・ログインページ

・購入完了ページ

・取扱終了商品

・在庫切れが長期化している商品

・法人向けと個人向けが混在するページ

最終ページURLの拡張は初期設定で有効になっている場合があるため、キャンペーン作成時に確認します。

ブランド除外

自社ブランド名の検索を別の検索キャンペーンで管理している場合、P-MAXからブランド検索を除外できます。

ブランド除外は、一般的な除外キーワードよりも、表記揺れ、誤字、別言語、関連ブランドを考慮しやすいことが特徴です。

P-MAXでは、ブランド除外は検索広告とショッピング広告へ適用されます。

ただし、商品フィードを使うECでは、検索テキスト広告だけをブランド除外し、ショッピング広告のブランド検索は残す設定も検討できます。

ブランド検索を除外する目的は、P-MAXのROASを低く見せるためではありません。

・ブランド検索の予算を別管理したい

・新規需要の獲得力を評価したい

・既存の指名検索キャンペーンと重複を避けたい

といった、分析や運用管理の目的を明確にして設定します。

除外キーワード

P-MAXでは、キャンペーン単位またはアカウント単位の除外キーワードを設定できます。

たとえば、次のような明確な対象外語句を除外します。

・無料

・中古

・修理

・求人

・自作

・取扱説明書

・取り扱っていない商品カテゴリ

・ブランドセーフティ上問題のある語句

ただし、除外キーワードは強い制御です。

除外を増やしすぎると、P-MAXが新しい検索需要を発見できなくなります。

自社ブランド検索を制御したい場合はブランド除外を優先し、除外キーワードは明確に無関係な語句やブランドセーフティ上必要な語句へ絞ります。

P-MAX開始前のチェックリスト

【チェックリスト:EC向けP-MAXで確認すべき項目】

確認項目なぜ重要か確認する場所・観点優先度
購入完了が計測できているか入札最適化の土台になるためGoogle広告のコンバージョン、タグ診断
購入金額と通貨を送信しているか売上金額で最適化するためコンバージョン値、データレイヤー
取引IDを送信しているか重複計測を防ぐため購入タグ、GTM、カート仕様
新規・既存顧客情報を送信しているか顧客区分の精度を高めるため購入タグ、顧客リスト
既存購入者リストを登録しているか新規顧客判定を補完するためオーディエンスマネージャー
購入者データセグメントを必要に応じて除外しているか直近購入者への重複配信を抑えるためオーディエンス、除外設定、有効期間
商品フィードの不承認がないか対象商品が配信できなくなるためMerchant Center診断
商品名・画像・価格・在庫が正しいか広告の関連性と配信機会に影響するためMerchant Center、ECサイト
検索テーマを設定しているか事業固有の検索意図を補足するためアセットグループのシグナル
自社データをオーディエンスシグナルに入れているか価値の高い顧客像を伝えるためアセットグループのオーディエンス
リスティンググループを整理しているか配信商品とアセットを合わせるためアセットグループ、商品グループ
カスタムラベルを設定しているか粗利・在庫・季節で商品を分類するためMerchant Centerの商品データ
目標ROASが実績と乖離していないか配信量を過度に抑えないため入札戦略、直近実績
最終ページURLの拡張を確認したか意図しないページへの送客を防ぐためキャンペーン設定、URL除外
ブランド除外の目的が明確か指名成果と新規需要を整理するためブランドリスト、検索キャンペーン
除外キーワードを増やしすぎていないか探索範囲を狭めすぎないため検索語句、除外キーワード
商品別レポートの集計変更を認識しているか2026年6月前後の比較を誤らないため商品タブ、ネットワーク別指標
実売上・粗利・新規顧客数と突合しているか広告ROASだけで事業貢献を判断しないためECカート、CRM、基幹データ

P-MAX運用でよくある失敗

既存顧客やブランド検索だけでROASが高く見える

リピーターが多いECでは、P-MAXが既存顧客や自社ブランド検索から購入を獲得し、見かけ上のROASが高くなる場合があります。

次の数値を分けて確認します。

・新規顧客数

・既存顧客数

・不明の顧客数

・新規顧客獲得単価

・新規顧客による売上

・ブランド検索を含む成果

・ブランド検索を除いた成果

・EC全体の新規顧客数

Google広告上のROASが良くても、EC全体の新規顧客が増えていなければ、既存需要の刈り取りに偏っている可能性があります。

全商品を一つのアセットグループに入れる

商品カテゴリごとに購入理由が異なるのに、すべての商品を同じ画像や広告文で訴求すると、広告と商品の一貫性が下がります。

主要カテゴリはアセットグループを分け、次を一致させます。

・商品

・画像

・動画

・広告見出し

・説明文

・検索テーマ

・オーディエンスシグナル

・ランディングページ

ただし、カテゴリを細かく分けすぎる必要はありません。訴求や顧客像が明確に違う単位で整理します。

検索テーマを検索キーワードとして扱う

検索テーマは、完全一致やフレーズ一致の検索キーワードではありません。

登録したテーマだけに配信されるわけではないため、検索語句の分析、ブランド除外、除外キーワードを併用します。

検索テーマは配信を縛るロープではなく、AIへ渡す地図の書き込みです。地図を詳しくしすぎても、同じ道を何度もなぞるだけになります。

商品カテゴリだけでキャンペーンを細分化する

カテゴリ、ブランド、価格帯、性別などでキャンペーンを細かく分けると、1キャンペーンあたりの購入データが不足します。

キャンペーンを分ける理由は、次のような事業条件に置きます。

・目標ROASが大きく異なる

・利益率が異なる

・予算を個別管理したい

・販売地域が異なる

・販売期間が異なる

・新規顧客の価値が異なる

・在庫消化の優先度が異なる

同じ目標と予算で運用できる商品は、一定程度まとめた方が学習データを集約できます。

新規獲得キャンペーンで購入者セグメントを除外していない

新規顧客の獲得を主目的とする場合、Googleの「新規顧客のみモード」だけでなく、自社で把握できる購入者データセグメントの除外も検討します。

たとえば、耐久財や初回購入用商品のキャンペーンでは、「購入360日以内」のユーザーを除外すると、既存購入者への重複配信を抑えられます。

一方、消耗品やリピート購入が重要な商品で同じ除外を行うと、再購入の機会を失います。

除外期間は一律ではなく、商品の買い替え周期、リピート率、LTV、キャンペーンの目的に合わせて設定します。

まとめ

P-MAXは、Google Merchant Centerの商品フィードとGoogle AIを組み合わせ、Googleの複数チャネルからEC売上を拡大できるキャンペーンです。

成果を高めるために重要なのは、次の6点です。

・購入金額と取引IDを正しく計測する

・新規・既存・高価値・休眠顧客を整理する

・検索テーマで事業固有の検索需要を補足する

・自社の購入者データをオーディエンスシグナルへ登録する

・リスティンググループとカスタムラベルで商品を整理する

・ブランド除外、除外キーワード、購入者データセグメントの除外を目的別に使い分ける

P-MAXは自動化されたキャンペーンですが、運用者の仕事がなくなるわけではありません。

運用者には、商品構成、利益率、顧客LTV、在庫、季節性、新規顧客戦略など、Google広告の管理画面だけでは分からない情報を広告設計へ落とし込む役割があります。

「AIに任せる」と「何も設計しない」は別物です。

正しいデータと事業判断をGoogle AIへ渡すことが、ECでP-MAXを活用する第一歩になります。

SideWellにご相談ください

SideWellでは、Google広告やP-MAXの初期設定だけではなく、商品フィード、計測環境、顧客データ、クリエイティブ、実売上分析を含めたEC集客支援を行っています。

次のような課題がある場合は、ご相談ください。

・P-MAXを配信しているが、既存顧客やブランド検索に偏っていないか分からない

・商品数が多く、キャンペーンやアセットグループの分け方に迷っている

・Google Merchant Centerの商品フィードを改善したい

・新規顧客と既存顧客の成果を分けて見たい

・広告管理画面のROASは高いが、EC全体の新規顧客が増えていない

・粗利や在庫を踏まえて商品ごとの配信を整理したい

・検索テーマやオーディエンスシグナルの設定を見直したい

Google広告の自動化を活用しながら、広告管理画面の成果だけではなく、事業の利益につながる運用設計を進めていきましょう。

よくある質問

P-MAXだけで検索広告は不要になりますか?

P-MAXと検索広告は役割が異なります。

重要な検索キーワード、指名検索、競合検索、細かな広告文の検証などは、検索キャンペーンで管理する方が適している場合があります。

P-MAXは検索広告を完全に置き換えるものではなく、検索広告を補完しながらGoogleの複数チャネルへ配信を広げるキャンペーンとして活用します。

オーディエンスシグナルに登録していない人にも配信されますか?

配信されます。

オーディエンスシグナルは配信対象を限定する設定ではなく、成果につながりやすいユーザー像をGoogle AIへ伝えるヒントです。

シグナル外でも、コンバージョン可能性が高いと判断されたユーザーへ広告が配信されます。

検索テーマは何個登録すればよいですか?

最大50個まで登録できますが、上限まで埋める必要はありません。

Webサイト、商品フィード、広告アセットだけではGoogleが理解しにくい、商品用途、悩み、季節需要、新商品、専門用語を優先します。

似た語句を大量に並べるより、異なる検索意図を持つテーマを整理する方が重要です。

リスティンググループだけで商品別の予算を設定できますか?

設定できません。

リスティンググループでは、アセットグループに含める商品と除外する商品を指定します。

商品カテゴリごとに個別の予算や目標ROASを設定する場合は、キャンペーンを分ける必要があります。

新規顧客のみモードなら既存顧客への配信を完全に防げますか?

Google広告上で新規顧客と判定されたユーザーを中心に入札します。

ただし、プライバシーや技術上の理由、Cookie、ログイン状況、顧客リスト、タグの実装状況などにより、既存顧客へ広告が表示される場合があります。

カスタマーマッチ、Googleの自動判定、購入タグの新規顧客情報を併用することが重要です。

購入360日以内のユーザーをP-MAXから除外できますか?

可能です。

Google広告またはGA4で「購入完了から360日以内のユーザー」などのデータセグメントを作成し、P-MAXキャンペーンのオーディエンス除外へ設定します。

ただし、360日は一例です。消耗品や定期購入商品では再購入の機会を失うため、30日、60日、90日など短くするか、除外しない判断も必要です。耐久財や原則一度購入すればよい商品では、180日から540日の範囲を検討できます。

また、広告のパーソナライズをオフにしているユーザーや、Googleが同一人物として識別できないユーザーには、除外が完全に適用されない場合があります。

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この記事の注意点

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この記事はGoogle公式記事ではありません。

2026年7月時点のGoogle広告ヘルプをもとに、EC・広告運用者向けに整理した実務記事です。

そのため、以下の点に注意してください。

・管理画面の表示や設定名は、アカウント、地域、時期によって異なる可能性があります

・顧客ライフサイクル目標で利用できるモードは、キャンペーン種別や入札戦略によって異なります

・新規顧客、既存顧客、不明の判定は、Google広告と自社受注データで一致しない場合があります

・2026年6月の商品別レポート拡張により、アップデート前後で表示回数やクリック数の集計範囲が異なります

・検索テーマの上限、優先順位、対象チャネルは今後変更される可能性があります

・オーディエンスシグナルは配信対象を限定する設定ではありません

・ブランド除外、除外キーワード、URL除外は配信機会を狭めるため、目的を明確にして使用してください

・購入者などのデータセグメント除外は、商品の再購入周期とキャンペーン目的に合わせて設定してください

・公開前と設定変更前に、Google広告ヘルプと実際の管理画面を再確認してください

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